注意:免責 本ホームページで記述されている内容は、個人的に検証し推察を含む結論となっています。 従いまして本記述内容を御利用される場合、全てに自己責で御願いいたします。 又、本記述を元に発生した如何なる不利益・事象に関して責任は負いかねます。 2018年7月 SG-Lab主宰記 各デバイスに於けるバイアス-ティー(Bias-Tee以降B-Tと略)機能について: 本項目を始めるにあたり、デバイスの破壊・故障を防ぐ為にB-Tに関する注意を記述します。 LNAフロントエンドアンプを使用するにあたり、各デバイス(RTL-SDR V3、AIRSPY-R2、AIRSPY-mini)の標準機能を用いています。 各デバイスのB-T(直流)のオン-オフ(Enable-Disable)は各デバイスへのソフトウェア・コマンドで行なわれていて、デフォルト(電源投入直後)ステータスは、オフ(Disable)となっている事を確認しています。 !!但し、使用されるデコード・ソフトのよってコントロールによって、結果的にデバイスの動作が異なってくる事に注意して下さい。!! 取扱を間違えると、デバイスに故障や破壊に繋がります。 実際の詳細回路が分からないので断定的ではないですが、B-T回路系には常識的に何らかの電流制限回路が入っていると予想されます。 これらは、あくまでも短時間のミスユースを想定している程度で、恒常的に短絡状態(高周波的には負荷でも直流的に短絡構成するループ型、コーリニア型、ログぺディ型等)を想定していません。 結果的にベストケースでもB-Tが使えないかワーストケースではデバイスの電源回路が死んで、使い物にならない可能性もはらんでいます。 (この手の故障がメーカーにとって一番厄介。 ユーザー曰く”壊れる寸前まで完璧に動いていたんです!”) ”ADSB Spy v1.0.0.48”では、ソフト立上時のB-T設定がデフォルトでオフ(Disable)になっているので、ミスユースは最小限で済みます。(”rtl1090系”ではB-Tコントロールはサポートされていません) スタートアップ・デフォルトのB-Tは”オフ”です しかし高機能なSDRSharpでは、設定した状態が保持されていて次回の対上げ時にその設定が反映されます。(周波数やモード、フィルタータイプ等は歓迎ですがB-TのEnableも!) 設定サブメニューの設定は前回終了時設定を踏襲しています。 条件によってはSDRSharpを立ち上げると同時にB-Tが”オン”で5V供給が始まります。(スタート・ボタンを押す前でも!) 立ち上げ条件としてAIRSPYデバイスがUSBに接続している必要があり、この状況を回避するにはアンテナを接続せずに、一旦立上、B-T”オフ”を設定して、SDRSharpソフトを終了します。 その後、アンテナを含め接続し、SDRSharpを再度立ち上げる必要があります。 大切なデバイスを永く使う為にも注意して取り扱って下さい。 AIRSPY-R2 set 本HP目的: ADS-Bパーソナル・レーダーを構築し日々関東地方、羽田/成田のADS-B(Out)搭載の航空機をワッチしています。 入門としてRTL-SDR USBドングルを用いて運用して来ましたが、次のステップとしてADS-B受信デバイスのアップグレードを考え、最近AIRSPY-R2とAIRSPY-miniを入手したのでデータを添えた比較を行ないます。(参考にして頂ければ幸いです) ①RTL-SDR USBドングル(青色プラケース初期型) ②RTL-SDR USBドングル(金属ケースV3) @$20.95-USD by RTL-SDR.COM ③AIRSPY-mini @$99.00-USD by ITEAD ④AIRSPY-R2 @$169.00-USD by ITEAD 実運用比較データ: ①RTL-SDR USBドングル(青色プラケース初期型)については、直接比較できる実験データが無いため割愛いたします。 ②RTL-SDR USBドングル(金属ケースV3) ③AIRSPY-mini ④AIRSPY-R2 運用データ試験条件: UUD(被対象試験デバイス)とデコード・ソフト並びに時間ドメイン(それに関わる環境変数)以外は共通条件です。 ・アンテナ:地上高約18m(約500ft MSL)7段コーリニア(SWR<1.5);アンテナ設置場所周囲は設置地点より高い建築物在り。 ・LNA:北海道TT氏設計SAWフィルター入力型(バイアス-ティー給電) ・アンテナ+直下NLAより10m長3D-2V同軸ケーブルにて室内導入し、UUDにBNC-SMA変換コネクタで接続 ・UUD-USBポートをUSBケーブルにてデスク・トップPCへ接続 ・デコードソフトはRTL-SDRはRTL1090;AIRSPYはADSB Spyを用いた ・ADS-BソフトはadsbScopeを共通使用 考察: 最大検出距離(レンジ・レコード)に関しては3UUD共に理論限界220NM程度を記録し大きな差は見出しえなかった。 adsbScopeのフレーム・レート(FR)に関しては、それぞれ大きな差となって表れた。 AIRSPYについてメーカー公称では基本的な差はないとの説明があるが、実際は高周波設計等の違いで、デコード能力(恐らくは限界的なSN性能の差)が如実に表れた結果となった。 又、RTL-SDRとAIRSPY(共通)との大きな差分で、FRの安定性が観察された。 RL-SDRが経時的にFRが低下してゆく傾向を持つ事(恐らく発熱による影響)に対し、AIRSPYでは認められなかった。(後述) 結論: 総合性能から、 ④AIRSPY-R2 > ③AIRSPY-mini > ②RTL-SDR USB V3 (≒①) と結論付けられます。 試験環境は②~④までUSB受信デバイス以外、ハードウェアは全て同一環境で、稼動ソフトと運用時間のみ異なっています。 最大検出レンジ(NM)は大差は見出せませんでしたが、フレームレート(FPS)の差は歴然で、価格の差に比例すると言って差し支えないと思います。 最大検出レンジ比較、 強いて言えば、概ね③≒④ > ②となります。 結果からRTL-SDRとAIYSPY-miniでは概ね計算限界の200NM+ですが、AIRSPY-R2ではこれを超えて250NM+を記録しています。 (AIYSPY-miniでも250NMを超えた時も認められました) 1~2dBの違いですが、内部ノイズフロアの違い等で差異がでているものと思われます。 フレームレート比較表 ④AIRSPY-R2 > ③AIRSPY-mini > ②RTL-SDR USB V3となりました。 特にAIRSPYとRTL-SDRの差は歴然で、-R2との比較では殆ど倍/半分の関係になります。 又RTL-SDRでは初期(電源投入後)でのフレームレートが時間経過につれて減少する傾向が見られますが、AIRSPYでは-R2、-miniでは見られませんでした。 翌日も同様なFRを示しています。 プロユースではありませんが、経時的に特性が変化(劣化)するのは気持ちの良いものではありません。 AIRSPY-R2、と-miniとの差ですが、物理的な回路設計でノイズ特性が改善されているのではないかと想像します。(メーカーによれば基本構成は同一との事です) オーバーオール・インプレッション: 気軽にADS-Bを実験や楽しむのであれば、RTL-SDR.COMのドングル($20.95-USD)は最も良い選択だと思います。 (経験上、直接入手でも何ら問題ありません。) しかしながら、少しでも良い条件での受信を考えると、FRの安定性からAIRSPY-miniの価値が出てきます。 特に外部固定アンテナでの高利得(遠方機影検出)を狙う場合は、当然受信機も相応に性能の高いものが望まれます。 更に高性能を求める目的であればAIRSPY-R2は総合的に、かなり高いCPを示します。 余談になりますが、AIRSPY-R2検証実験中画面をモニターしていると、通常では検出不可能な紀伊半島沖(250NM超え)の機影を捉えました。 画面結果からお分かりのように、SG-Lab固定からは西方向には遮蔽物が多く、150NM程度が限界です。 デコード・エラーと思いFlghtRader画面で確認すると、羽田発沖縄行きのスカイマークが飛んでおり、何かの偶然でデコードが実際出来た事が確認できました。 このような現象も、デバイス内部での耐ノイズ設計、ノイズ処理等が上手く出来ている証左で、個人的には2万円程の価格には大変満足しています。 RTL-SDRドングルのパフォーマンスに少し不満が出てきた場合は、AIRSPYは最適な次期候補となると思います。 デバイス入手方: 日本からですとITEAD社からの直接購入で、 AIRSPY-R2:$169-USD(オリジナル価格は$199-USD) AIRSPY-mini:$99-USD となります。(RTL-SDR.COMと同様で日本には正規代理店はありません) (AIRSPY-R2ではドライバーも最近のWindowsではP&Pなので楽です) 個人的には-R2と-miniの両方を持っているので、予備としてRTL-SDR.Ver3をひとつ手元に残し、他は処分の予定です。 AIRSPY-R2はデスクトップPC+固定アンテナ環境で用い、AIRSPY-mini(サイズはRTL-SDRより短い)はラップトップ用の遠征用として主として使う予定です。 個人遠征で車移動で少し距離はありますが、埼玉県ときがわ町の堂平山頂(一等三角点でもあります)をよく利用します。 海抜876mの山頂近くまで車でアクセスが可能な事と基本的に360°全方位に対し視界が開けています。 山頂には堂平天文台(91cm反射望遠鏡)もあり、眺望の良さは定評があります。(視程の良い日には相模湾を航行する大型船舶も見れるそうです) 光学的見通し距離は100km強で、4万フィート対象機なら270NMまでは拾える計算になります。 成田は試したことがありませんが、羽田ATIS(128.8MHz AM)はハンディー機でも充分に拾えます。 以下は、補足と言うか蛇足情報ですのでお気にめすままどうぞ: RTL-SDRは悪いのか? 残念ながらコスト追求で、AIRSPYと比べ性能に差があるのは事実です。 が! 対応がメチャメチャイイです! 初代のUSBドングルを弄り回した挙句、LNA(北海道TT様設計)を常用すべく、バイアス-Tをサポートしているアップグレード品を注文しました。 当時の情報では、基板上のパッドを短絡して電源供給をハードウェア的に改造をする物(V2)として注文しました。(最初の青プラケースの物以降は直接注文です) 現品も注文後直ぐに出荷・到着し、バイアス-Tイネーブルについてメールにて質問すると速攻で返事があり、到着したV3以降バイアス-Tイネーブル/ディスェーブルはソフトコントロールで行なう旨的確な案内が届きました。(カールさんに感謝!多謝!) 動作も安定し、一年程は全くメンテを行なう必要も無く安定(フレームレートの減少を除く)して運用が可能でした。(出張時や避雷目的の為にUSBを抜くのですが、再立上時も、その都度バイアス-Tをオンにするだけです) 今回もトライアルで、"RTL-SDR Blog ADS-B Triple Filtered LNA (Bias-Tee Powered)"を注文したところ、注文受付確認から発送(トラッキング情報)、到着まで一週間程で、無事に動作する事も確認できました。信頼できるメーカーさんです。(コネクターのAliExpressも同様に早い!) 又、実運用でRTL1090 Beta3が好みで、ATCからの高度指示(アサイン)が表示される場合があります。 こちらの機能はAIRSPYでは使えないのでチョット残念です。。。 ちょっと”通”ぽくて好きだったんですが。。。 一方、AIRSPY購入は日本からはITEAD(という本来は中国は深センのPCB屋さん)はチョット対応が。。。 AIRSPY-R2と-miniをまとめて購入して、送料も別途EMSで支払った(計3万円位)のに、”支払い完了通知”と”処理中”で10日以上も放置プレー。 さすがに、何のアップデートも無いと心配になって、チケットを切って質問するも、”チケット受け取りました”だけ。。。 20日も経った頃、ようやく出荷の案内がきて、その後一週間で到着。 同じ中国深センのRTL-SDRやAliExpressと比べると対応の悪さが目立ってしまいました。 SG LabのADS-B構成変遷: 当初Web上での記事を参考にアマゾン経由でRTL-SDRの初期版(水晶発信)を購入し、これまた多くの方が実践している構成で実験を始めました。 旧アマチュア無線屋としては、屋外アンテナから同軸を引っ張り、屋内でUSBドングルに接続するのが正統(?)な構成と考えていましたが、多くの諸先輩がアンテナ直下にUSBドングルを配し、 そこからUSBケーブルを延長してPCに繋ぐ構成を採用されていました。 1G帯の高周波ロスを考慮すると全く持ってMake-Senseと思い同様の構成で始めました。 しかしながら、当然ですが本来屋内使用を前提としているUSB周りは耐候性が乏しく長期耐久に疑問が生じました。(簡単に言うとUSBコネクタ周りの防水処理は結構難しい) で、結局LNAを搭載する事でケーブルロスを補完する、無線屋としてはベタなコンベンショナルな構成に至りました。 何回も試作を重ね5段コーリニアアンテナを作成し、北海道TT氏設計のLNA(SWAフィルター版とマイクロストリップライン版)を入手し、アンテナ直下に配置し、バイアス-Tで給電しました。 この為にRTL-SDRドングルもアップグレードし、メーカーより直接購入したのは前記の通りです。 中国製ノンブランドの3D-2V・10m(品質の程は疑問ですが受信専用なのとケーブルが柔軟なのは屋内取り回しが楽です)を用いて屋内に引き込んでいますが、一年以上に渡り気象影響されること(雨や風で感度が変わるなど)無く安定して稼動してくれました。 5段コーリニアアンテナ(7dBi位のゲイン)製作実験で、5段以下(3段でも5dBi位は期待できる)であれば比較的容易にマッチングがとれるますが、 それ以上の構成となると極めてデリケートな領域(高性能アンテナなので元々のアンテナインピーダンスが低く、周囲の影響を受け易い)に入りこみます。 かなりの回数のトライの後、何とか7段(8dBi位のゲイン)2本を完成させました。(SWR≒1.5;約5%ロス) 努力の割にはゲインが少なく、絶対利得追求ならば良質なLNAを追加する方が遥かに楽である事実を経験できました。。。 備忘録を兼ねて、幾つか特性グラフを掲載しておきます。 ADS-B 1090MHz 5段コーリニアアンテナ(レンジ記録;LNAナシ) 参考:白色パイプは120cm長FRP製レドーム(φ18mm;内径16mm) 5段コーリニア 電気特性 ADS-B 1090MHz 7段コーリニアアンテナ(レンジ記録;LNAナシ) 参考:白色パイプは120cm長FRP製レドーム(φ18mm;内径16mm) 7段コーリニア 電気特性 シュペルトップや分岐導体バラン等試しましたが、ADS-B受信(1090MHz)専用である為もあって目立った改善には至りませんでした。 やはりアマチュアの2m帯とは勝手が違いすぎ、この周波数帯域となるとアンテナ・アナライザーは必須となります。(これが高いんだわ!) 5段と7段では他の資料による情報通り、最大レンジ結果から1dB程度の差があると考えられます。 次のステップ: 電気的な目処がたったので、機構的に堅牢な構造(特に防水)を採用します。 (3~5年は完全メンテナンス・フリーな構造を目標としています) 当初、海外のWebサイトで二入力(指向性アンテナと無指向性アンテナの組み合わせ)をBeastを用いて構築している記事を見つけ興味を持ちました。 SG Labでは都内のロケーションの関係で羽田でも検出下限高度は200フィート程を補完する目的で何とか使えないかと考えています。 ADS-B用の八木アンテナがドイツで市販されており、機会をみて購入し羽田にビームを向けて、現行の自作7段コーリニアとの差分を検証しようと考えています。 因みに、同じサイトで紹介されているG-7RGQ設計の無指向性アンテナ(5/8λ系)をアンテナシミュレーターで計算した結果が以下です。 MANNA結果 水平方向に強い感度を持っていることがわかります。 シミュレーション結果ですとSWRが悪すぎるので、実際の試作では、もう少し詰める必要がありそうです。 如何でしたか? 少しはお役にたてる情報があったことを願って本章を締めさせていただきます。 SG Laboratory主宰 |